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raskiのマジックとミステリの部屋

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カードマジックの本その2


『 The little giant book of card tricks』 Bob Longe
スターリング出版社から売り出されている、ボブ・ロンジシリーズのうちの一冊。ページは厚いのですが、サイズの小さな本です。
 
 大きく分けると、マジックを演じる上でのアドバイス、技法解説、トリック解説の3部構成です。技法解説は、基本となる技法にとどめてありますが、フォース、コントロール、シャフルなどには著者の工夫した技法や珍しい技法が入っています。

 トリック解説は、既成のトリックに著者が手を加えたものや、著者のオリジナルのトリックが載っています。元となっているトリックは、ステュアート・ジェームス(かなりたくさん載っています)、マーティン・ガードナー、ニック・トロストなど注目すべき人々のトリックです。実演形式で解説しているので、雰囲気をつかめると思います。

 少しトリックを見てみましょう。
Turning the table・・・・・・・ステュアート・ジェームスのフォーエースの改案。

A little card tricks・・・・・・コインの下のカードが・・。

Trickey triple prediction・・・三枚の選ばれたカードが予言されています。

 かなりたくさんのトリックが載ってはいますが、サイズが小さくて厚いので、ひとつの解説が複数ページにわたったり、本を開いたままにしておくのが困難だったりという弱点はあります。結構こういったことは気になることもあるので、うまく対処してください。

『New self working card tricks』 Karl Fulves
ドーバー社から出版されているカール・ファルヴスシリーズのうちの一冊です。メンタルカードマジックが好きな人に、特にお勧めします。ほかのセルフワーキングシリーズと同様に、好きなトリックが結構あります。
 ただ、ギャンブルトリックが少し不思議でないという印象も受けました。ほかのシリーズに比べて少し種が見えやすい気がしました。全体的に見ると魅力的なトリックが多いのですが。
 この本の中には95ものトリックが解説されています。ここではそのうちのいくつかを紹介してみます。

Heavy weight ・・・・・・・重さを手で測ってカードの枚数を当てます。気づかれにくいトリック。

Ultra match up・・・・・混ぜられたデックから、同じ数字のカードを取り出します。秘密操作がありますが、何気なく行われ、カバーされています。

Impulse・・・・・・自由選択を続けて、選ばれたカードを当てます。

Silver trap・・・・・・準備が必要。コインでカードを捕まえます。見た目にも面白いマジックです。
 
Psychic map・・・・・テーブル上の裏向きカードの色を当てます。

『Mystifying card tricks』 Bob Longe
これもボブ・ロンジシリーズのうちの一冊。少し前に売り出されたもののリプリントだと思います。

 ボブ・ロンジシリーズはいくつかの技法解説がなされているのが常ですが、この本では1つだけ技法を解説しています。その技法は、ワン・ツー・スリーシフトという技法です。少ない枚数のカードを混ぜる?時に使うものです。イメージとしては、チャーリア・シャフルに近いような気がします。

 それ以外は、技法解説まったくなしで、ノンスライト(技法不要)、ノンギミック(道具不要)のカードマジックを解説しています。著者がテレビで見かけたトリック、エイトキングシステムの解説と利用法、フィル・ゴールドスタイン作のトリックなどが目玉でしょうか?例によって、いくつかのトリックを見てみましょう。

The first quadruple coincidence・・・・・・このトリックは好きです。混ぜたデックから同じ数字のカードを4枚出現させます。

An old timer・・・・ヒューガードの『エンサイクロペディア・オブ・カード・トリックス』にも載っているトリックの改案版。 

A kingly decision・・・・・シャフルしたデックによる予言。チャールズ・ジョーダンちっくな雰囲気がします。

No sleight trick・・・・・元は技法を使ったトリックの著者による簡略化。ぱっと見たところ不可能に見えます。

『More self working cad tricks』 Karl Fulves
カール・ファルヴスのセルフワーキングシリーズの中の1冊。通しで見ると、第2番目の作品です。1984年の作で、そこまで新しいとはいえませんが、珍しい感じのするトリック、風変わりなトリックなどが乗っていて、十分実用的です。どうシリーズは全体的にいい本ですが、その中でもいいほうに位置するのではないかなと思います。
 電話越しにマジックを演じる「テレフォン・トリック」、悪魔の知恵ともいえる「リフル・シャフル・セットアップ」、マジシャンの秘密兵器、「フォーシングの秘密」、カードで工作?する「トポロジカル・カードトリック」など幅広い品揃えです。
 いくつか紹介します。

Miaskil・・・・・数あるバリエーションの中で、準備不要で繰り返せるという優秀なもののひとつ。

Flip top・・・・観客の選んだカードがデックのトップでひっくりかえります。アードネスの時代からあった伝統的なトリックです。

Speak of the devil・・・・・悪魔との契約とギャンブルというとてもサスペンスに満ちた演出のトリック。少し変わった原理を使っています。この原理を使ったほかのマジックは、ボブ・ロンジの『ミスティファイング・カードトリック』にも解説されています。

Ritual of kings・・・・観客が自分で宣言したカードを選んでしまいます。(見た目には)

『Clever card tricks hopelessly clumsy』Bob Longe
ボブ・ロンジシリーズのうちの1冊。『どうしようもなく不器用な人のための賢いカードトリック』という名前に現れている通り技法が不要で、しかもなかなかトリッキーな品揃えになっています。私でも安心して練習することができます。

 変ったものの例としては、時計板トリック、ソリティアのトリック、確率を利用したギャンブルトリック、技法不要のフォア・オブ・ア・カインドなど。普通のトリックももちろんいっぱい解説されています。
 
 たとえば・・・・・・。

What else?・・・・・・・裏表ばらばらに混ぜたカードの中から、選ばれたカードを当てます。

These are gold・・・・・ホフマン教授が解説しているトリックの改案。カードを配っていくつかの山を作ってカードを当てます。

Crime does not pay・・・・・犯人を捕まえるというトリック。ストーリーをつけるのがポイント。

Nothing up my sleeve・・・・・袖に何も入っていないことを確かめますが・・・。そこには予言が・・。コメディーマジック。
 
 これらのトリックのほかにも、せりふや失敗したときの対処法なども解説されています。

『Easy card magic』Bob Longe
名前の通り易しいカードマジックを集めた本です。難しい技法や複雑な手順で困るということはありませんが、やや単調になります。いつものように巧妙だと感じるトリックは少なかったと思います。その中からいくつか。

Two by two・・・・ボブ・ハマー氏の原理を用いたトリック。裏表混ぜたはずなのに、表向きのカードの枚数と裏向きのカードの枚数が一致します。

cut and count・・・・魔法の言葉でカードを取り出します。

Computer speller・・・適当に数字を言ってもらい、それによってカードを当てます。

 これらのトリックはほかに解説している本がありますが、『Easy card tricks』の中で私が気に入ったものです。行うに難しくないことは確かです。
 この本によって、ボブ・ロンジのフルネームは、ロバート・チャールズ・ロンジだということが発覚します。

『Scarne on card tricks』John Scarne
 ジョン・スカーニーによるカードマジックの教本。技法を使用しないマジックを155解説。技法は要らなくても、準備が必要になるマジックもあります。付箋がたくさん貼ってあるので、(もちろん自分が貼ったのだが)参考になったところは多かったといえます。これだけ集まっていると、その眺めも壮大です。

 内容は、たぶん標準的なマジックが多いと思います。(何をもってそういうかは難しいのですが、私の感じでは。)だから、もうどこかで読んでいるということも、もしかしたらあるかもしれません。逆に言うと、名著だという証明になるかもしれません。私はこの本で、いくつか新しいマジックを覚えました。いくつか紹介してみます。

Scarne's knockout card trick・・・・・カードを一枚選んでもらい、それを何枚かの山に戻します。その山を裏表交互にして、演者は背中にカードを回します。その状態でカードを当てて、さらに・・・。

The atomic location・・・・小さな山札を作り、その一番上のカードを覚えます。その上にカードを重ねて、覚えたカードがどこにある川からない状態にします。それでもカードを当てることができます。タイミングが巧妙に仕組まれているので、一見したところ不可能トリックに見えます。

Einstein and magician・・・予言マジックですが、予言は暗号で書かれています。複数の数理的原理を組み合わせたトリックです。

Thurston's card tricks・・・・カードを使わないカードマジックというなんとも矛盾したマジック。

 そのほか、ステュアート・ジェームスのフォーエース、ミラスキル、チョップで当てるカードなど、私が普段よく演じているマジックも含まれています。

"World's greatest card tricks" Bob Longe
ボブ・ロンジシリーズのうちの一冊。しばらく絶版だったようですが、他社より復刊されました。ボブ・ロンジシリーズの中でも、私見ではトップ3に入ると思います。カードマジックに興味がある人はぜひ読んでください。とても楽しめるマジックが、たくさん載っています。
 
 技法編では、コントロール、フォース、フォールスカット、グライドを解説。もし技法を使ったマジックをやるならば、これだけはというところだけを選んでいるあたり、著者の経験の深さをうかがわせます。コントロール法として、ダブルカット、簡単なコントロール、もっと簡単なコントロール、キーカードコントロールの4つを解説。最後の三つは技法というより方法です。フォールスカットとしては、手のひらの上で行うおしゃれなカットがあります。

 マジックとしては、以下のものがあります。
No touch no feel・・・・・演者はカードにまったく触らないのに、不思議な現象が起きます。ダウン・アンダーという原理を使用。

Double discovery・・・選ばれた二枚のカードを、不可能に見える状態で当てます。私の一番のお勧めです。技法は不要。

Wally's wily ace tricks・・・・カードを捨てていって、最後に選ばれたカードだけを残します。そして捨てられたカードを見ると・・・。驚愕の結末付き。

The misguided spectator・・・・・カードを変化させるマジックです。

 技法を紹介している割には、技法を使うものは少ないのでご安心を。


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